法人登記とホームページ

2019年3月16日HPを作る

事業を始めると、多くの人はホームページを作ることを考えるでしょう。特に法人を登記するにあたってはホームページは不可欠。

目的は信頼の獲得であったり、集客であったりします。自分で作ると最低限の費用で済みますが、人に頼んでもそれほど金額は必要ない時代です。ハイエナ業者に騙されないためにも、しっかりと知識を持って臨みましょう。今日は、「法人登記にあたって、ホームページを持つことの6つの意義」と「ホームページ作成に必要な3つのもの」について話します。

では、順番に進んでいきましょう。

ホームページは信頼獲得の「もっとも簡単なツール」

弊社でもホームページ制作をよくご依頼いただくのですが、そのほぼ全てが「企業としての信頼性が欲しい」というものです。では、具体的にどんな時に「信頼性」が重要になるのでしょうか?

銀行の口座開設に役立つホームページ

事業を始めるうえで、口座開設は必要不可欠でしょう。口座開設は、個人事業主の場合は「屋号+個人名」、法人においては「法人名」で開設することとなります。ここでは特に「法人の口座開設」についてお話ししていきます。

法人が口座開設するには、法人登記していることが不可欠です。法人の登記というのは、法務局に「○○という会社が新たにできましたよ」ということを届け出ることです。法人登記を行うと、特に問題がなければ1週間もすれば登記完了の通知がなされます。

登記完了すると「登記事項全部証明書」という書類が発行できるようになり、晴れて「会社の代表をしています」と言えるようになります。

さて、早速銀行口座を開設しよう!となるわけなのですが…。口座開設には、各銀行ごとに審査があり、申請から開設までは目安で2週間〜1ヶ月程度かかります。ここで何を審査されるかというと、

  • 代表者の経歴(反社会的な関わりが無いか?)
  • 法人の資本金(最低限の資本(資産)を持つ企業か?)
  • 会社の所在地(遠方から口座開設に来ていないか?)
  • 事業内容(社会通念上「問題が無いと考えられる」か?)
  • 情報開示されていて、安心できる企業か?

主にこういった点です。

ホームページは上記「最低限の資産を持つ」「情報開示されていて安心できる」の部分に関わるツールです。

情報開示についてはすでにご存知のことと思います。ホームページがあると無いとでは、発信されている情報の量が違う場合が大変多いのです。確かに、SNSがあれば十分と考える方もいらっしゃいますが、SNSだけでは「項目ごとにまとまった会社の概要」を知るには適切ではありません。

例えば「事業内容」「会社概要(所在地・本社所在地・代表者 等)」「求人情報」「問い合わせ窓口」です。こういった情報はBtoC取引だけでなく、特にBとB取引での最低限の礼儀とも言えます。

銀行は、こういった「対企業に対しての礼儀が整っているか?」という点を審査していると考えられます。

もう一点「最低限の資産を持つ」という点、これはもしかすると初耳の方もいらっしゃるかもしれません。ホームページは賃借対照表の「資産」の部に分類されるので、

ホームページを持っている=会社として一つの資産を持っている

と考えられるのです。通常、資産というと土地や建物、機械や商品の在庫などが挙げられ、これらは事業を本格的に開始するまでは、まだ手元に存在しない場合も多いのですが、ことホームページに関しては「好きなタイミングで持つことができる」のです。

いつでも持つことができる資産で「より良く評価してもらえる」なら、持っているに越したことは無いと思いませんか?

ホームページは融資の獲得にも有用

法人登記をして事業を始める上で、資金繰りの検討は重要な課題です。特に事業融資については、開業時に申請できるものもありますから、使わない手はないでしょう。

融資を獲得する上で必要不可欠なのが「事業計画書」「資金繰り計画書」、そして「事業の拡大が感じられる雰囲気」です。雰囲気、というと語弊があるかもしれませんが、事業開始時には会社の実績はゼロです。なので融資担当者は、代表者個人の「熱意」「可能性」「説得力」で評価する他に方法がないのです。

特に担当者は、「熱意」を「準備の程度」で捉える傾向にあると考えます。つまり、どれだけ熱意があるかは、どれだけ入念・周到に準備を進めて来たかが「客観的に見てわかるもの」で判断されると言えます。

どんなに頑張って準備を進めたとしても、客観的に見て伝わりにくい「知識」や「経験」は、文章にするなど、客観的に確認できるようにする必要があります。
といっても、ただ文章で長々とまとめて「読めば分かる」という態度はいただけません。面談時間には限りがあり、担当者も数多くの融資案件を抱えています。あなたのために使える時間は多くはありません。

だからこそ、画像や見せ方を工夫することによって理解しやすく構成された「HP」は一定の評価を得られると考えられるのです。

企業間の取引時にホームページがあれば

企業間で取引する上で、企業の信頼の獲得は大きな課題です。信頼一つで卸値や契約条件などが容易に変わるのです。この現代社会で、ホームページがない企業と業務委託契約・業務提携を行うのはとても難しいでしょう。その企業を評価する材料が少ないと考えられるからです。

「ホームページがなくても、SNSで積極的に情報発信すれば良いんじゃないの?」こう考える方もいらっしゃるでしょう。確かにこれは一理ありますが、これは「SNSの運用に絶対的な自信がある」場合に限られます。

現在、資本金1000万円以下の企業におけるホームページの普及率は大変低く、その理由のひとつに「わからない」がありますが、ホームページのことがわからない人が、効率的なSNS運用ができるかという点で疑問を感じますよね。

しかも、取引を検討する企業に対して「うちはホームページ用意してないから、SNSをちゃんと見てね」などという態度ではいかがでしょうか?

有るか無いかで超えられるハードルが有るなら、手っ取り早く持てば良いと考えるのは、私だけでは無いでしょう。

ホームページは人の募集が得意

人の募集において、今やインターネットは切っても切り離せないものとなっています人の募集というと「求人」が真っ先に上がりますが、それだけではありません。

例えば、人材紹介業や人材派遣業の「人材登録」も一つです。あるいは「キャンペーンへの応募」「工賃の安い個人の業者を募集する」などの場合においても、インターネット上の窓口となるホームページはとても役に立ちます。

そういった、事業に人材が大きく関わる事業の場合は、ホームページを持っているかどうかで「事業拡大の可能性」の面でプラスの評価をもらいやすくなるでしょう。

ホームページはクレジットカードの作成の手助けに

企業として活動する上で、クレジットカードはとても有用に使うことができます。企業においてお金の回りはとても重要で、特に「支払い時期」はキャッシュフローに大きく関わります。クレジットカードは、使う時期によっては2ヶ月近く支払い時期を遅らせることができるため、それだけ「お金を稼ぐ猶予」が生まれます。

そんなクレジットカードですが、やはり利用には審査があります。まずは代表者個人の信用が大きく関わるのは言うまでも無いのですが、そこをクリアしている前提では「法人としての信頼感」も影響すると言えます。極端に言うと、事業内容や事業形態一つでアウトになる場合もあるのです。

申し込みの際には「法人の登記事項全部証明書」を提出することになるので、事業形態はそれで十分分かります。ではどう言うことかと言うと、「実際にこんなふうに営業していますよ」を伝えるのが、ホームページの一つの役割です。

「書類上も問題ないし、実際の営業内容も問題なさそうだ」これこそが、信頼感でしょう。

(裏技)資本金として出資できるホームページ

これは法人登記前にしか使えないのですが、法人登記前にホームページを作成し、有る程度の利用者や情報発信を行なっている場合に、そのホームページ自体に価値が有ると考えることができます。

すでに個人事業主で事業を行なっている場合などでは、より信頼性と実用性の高いホームページであれば、法人登記時に「資産」として資本金に組み入れることができるのです。

極端に言うと、ホームページに100万円の価値があれば、現金を1円しか出資しなくても「資本金100万1円」の企業を立ち上げることができます

有形資産および無形資産を出資することを現物出資と言い、それに伴って法人を設立することを「変態設立」と呼びます。

ホームページを作るにはこれが必要

と言うわけで、信頼を勝ち取るために様々なところでホームページをが役に立つと言うことをお伝えしました。
この章では、実際にホームページを持つために必要となるものについて、具体的に話していきます。

ホームページを作る目的

ホームページを持つ上でもっとも必要なのが「なんのためにホームページを持つのか」です。「信頼獲得のため」というのももちろん目的の一つですが、それ以上に「実利としての目的」が重要となります。

例えば「ホームページで顧客を獲得する」であるとか「ホームページですごい企業だと思ってもらうことにより、対面セールスの成約率をあげたい」などといったものです。

最終的に、どんな信頼を獲得することによってどうなりたいのか、この部分を強く意識しておくことで、ホームページの存在意義と営業効率は何倍にもなります。

ホームページに使う画像素材

ホームページを作る上で、画像は必要不可欠です。いかに視覚情報で情報発信ができるかが現代では大変重要視されています。

私が推奨する最低限の画像としては

  • 代表者のポートレート
  • 事業をイメージできる素材

これらです。その他にも「自社の顧客のイメージ写真」「自社社屋の写真」などもあれば、より信頼感が持てるでしょう。

ポートレート写真はできるだけ明るく、できれば屋外で撮ったものが好ましいでしょう。理由は「ひかり」です。カメラマンが撮る写真は「光の演出が上手い」のが大きな特徴で、彼らはどんな環境でも持ち前の機材で光を作ることができるのです。

そんなプロのカメラマンでも口を揃えるのが「自然光が一番綺麗」と言うことです。自然光とは、すなわち太陽光のことです。もちろん、直射日光では顔にパッキリと影が出てしまいます。オススメは「少し雲のある晴れ間」での撮影です。こういった日であれば、場所にかかわらず、素人でも印象の良い写真を撮ることができます

「事業をイメージできる素材」の写真は、写真購入サイトで購入するか、素材提供まで行なってくれる制作業者を選ぶのが良いでしょう。ただし、業者によっては経費を浮かすために「無料or格安の写真」を使うところもあります。そういった写真はクオリティが低く、色合いがよくなかったりする場合もあります。

この点では、制作事例で「パッと見て良い感じの写真を使っている」と感じる制作業者を選定するのが良いでしょう。

ホームページに載せる文章

文章は、ホームページを作る上で重要な要素の一つです。あなたがなぜ事業を始めたのか、その熱意やメッセージはあなたの内にしかありません。業者に発注する場合でも、文章作成が金額の大きな割合を締めます。

考えなければならない文章は以下の5つです。

  • 事業内容を文章化
  • 法人を立ち上げた熱意・思いを文章化
  • 自社が解決できる問題や、事業の目的について文章化
  • 自社の強み・弱みを文章化
  • 自社の顧客となる人物のペルソナ・属性を文章化

これは、業者にホームページを発注する際にもあった方が良いものです。最悪、なければ作ってもらえるでしょうが、費用がかかったり、思ったようなメッセージとならない場合があります。

あなたの思いをあなたが文章化し、ホームページを業者に頼む場合は編集のみプロに頼む、というのがもっとも効率的でしょう。

今後パンフレット等を作成する場合においても、ここで作った文章は大いに役立ちます。

ホームページを自分で作るor作ってもらう

ホームページを自分で作るのか?業者に頼んで作ってもらうのか?この点は「作る時間」と「知識」と「費用」で考えれば良いでしょう。

ホームページを自分で作るなら

もともとホームページ作成の知識を持っていたり、自分で作り上げていくことも楽しめる人であれば、「自分で作る」と言う選択肢があります。

自分でホームページを作る場合は、以下のフローがオススメです。

  • WordPressで作成する
  • ビジネス用途で使えるWordPressテーマを選ぶ
    (必要に応じて購入する)
  • ここまでの章で述べた内容を全て掲載する

全ての素材を用意して、ホームページが完成するのに1ヶ月近くかかるでしょう。自分でホームページを作る場合は、わからないことはインターネットで調べる努力と根気が不可欠です。

選ぶWordPressテーマによっても制作期間はかなり変わってきます。弊社ではこれを短縮するために「WP-STANDARD」という、ビジネス向けのWordPressテーマを用意しています。

ホームページを作ってもらうなら

1ヶ月程度の期間と根気が捻出できない場合は、業者にホームページを発注しましょう。ただしこの際、金額に注意してください

企業初期のホームページで、特に特殊な機能が必要ない企業の場合、何十万円もの費用は本来必要ありません。たいていの場合、単に割高であったり、必要のない機能が搭載されていたりしています。こういった無知な人を餌にするような提案を行うホームページ制作業者を、私たちは「ハイエナ業者」と呼んでいます。

ちなみに、弊社では10万円からホームページを作成できるキャンペーンを行ったこともありますが、つまりその程度の金額でホームページは持つことができるのです。(サーバー・ドメイン・画像素材・文章作成編集、全部込みでこの金額です。)

現代において、ホームページの制作自体に大きな価値はありません。作ったホームページをどのように活用して自社の利益にできるか、この点がもっとも重要です。

まとめ

ホームページは様々な場面で必要となる「信頼」を獲得するためのもっとも手軽なツールですが、作成するためには写真や文章といった最低限の素材を準備することが不可欠です。

とはいえ、資産として計上できるホームページは、企業にとってはとても有用なもので、自分で作っても良いし、他人に頼んでも良いでしょう。

自分で作る場合は、WordPressがオススメです。ビジネス用途に特化したWordPress用のテーマを選べば、およそ1ヶ月もあれば制作できるでしょう。もちろん、弊社でもビジネス用途に特化したテーマ「WP-STANDARD」を扱っています。

制作を他人に任せる場合でも、「ハイエナ業者」に注意し、自社の目的にぴったりな業者を選定してください。参考までに、弊社では過去に「10万円でサーバー代・ドメイン代・写真素材・文章作成編集込み」というキャンペーンを行なった事例があるほど、けして高いものではありません。